司法書士に頼むと7万〜13万円かかる相続登記ですが、シンプルなケースなら自分でできます。ここでは、初心者がつまずかないように、流れを5ステップで整理します。

ステップ① 不動産を特定する

まずは亡くなった方の不動産を漏れなく洗い出します。

  • **権利証(登記識別情報通知)**を探す
  • 固定資産税の納税通知書を確認
  • 市区町村で**「名寄帳(なよせちょう)」**を取得 → その市区町村内の不動産を一覧で確認できる
  • 2026年(令和8年)2月2日に運用が始まった所有不動産記録証明制度を使うと、被相続人名義の不動産を一覧化した証明書を請求できる(手数料は書面請求で1通1,600円。登記簿がコンピュータ化されていない不動産は抽出されないなど、すべてを網羅できるとは限りません)

ここを丁寧にやらないと、後から「もう1筆あった」と判明し、二度手間になります。

ステップ② 戸籍と関係書類を集める

必要書類は別記事に詳しくまとめていますが、要点は次の3つです。

  • 被相続人の出生〜死亡までの戸籍一式
  • 相続人全員の戸籍・印鑑証明書
  • 取得者の住民票

広域交付制度(2024年3月開始)を使えば、最寄りの市区町村でまとめて戸籍を請求できます。ただし請求できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の戸籍に限られ(兄弟姉妹の戸籍は対象外)、窓口に本人が出向く必要があります(郵送・代理人による請求は不可)。コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍も対象外です。法定相続情報一覧図を取っておくと、銀行手続きにも使い回せて便利です。

ステップ③ 遺産分割協議書を作る

不動産は登記事項証明書のとおりに記載します。住所表記ではなく地番・家屋番号で書くのがポイント。法務局HPにWordひな形があるので、それを使うと安全です。全員の実印押印と印鑑証明書を必ず添付します。

ステップ④ 登記申請書を作る

法務局HPに用途別のひな形が掲載されています。

  • 遺産分割協議による相続
  • 法定相続分による相続
  • 遺言による相続

それぞれ書式が違うので、自分のケースに合うものをダウンロードしましょう。

登録免許税の計算

  • 課税価格(固定資産の評価額の1,000円未満を切り捨てた額)× 0.4%(算出した税額の100円未満を切り捨て)
  • 評価額1,000万円なら 40,000円
  • 100万円以下の土地は2027年3月31日まで免税

支払方法は、

  • 収入印紙を申請書に貼る(一般的)
  • 銀行で現金納付して領収証を貼る
  • オンライン申請ならネットバンキング・Pay-easy

から選べます。

ステップ⑤ 法務局に申請する

申請方法は3つあります。

方法A:窓口持参(おすすめ)

不動産所在地を管轄する法務局へ持参。法務局の登記手続案内(完全予約制・1回20分以内)を使えば、申請書の書き方について事前に案内を受けられます。ただし、書類の点検や審査をしてもらえる制度ではありません。

方法B:郵送

書留扱いで法務局に郵送。**収入印紙の貼付・返信用封筒(返却書類用)**を忘れずに。やり取りが郵送になるぶん、補正があると時間がかかります。

方法C:オンライン申請

法務省の**「登記・供託オンライン申請システム」**を利用します。

  • 本格的な不動産登記:「申請用総合ソフト」(無料DL、Windowsのみ)が必要
  • 相続人申告登記など簡易な手続き:「かんたん登記・供託申請」がブラウザだけで利用可能
  • 登記申請はスマートフォンからはできない(スマホで使えるのは登記事項証明書等の交付請求などに限られます)

電子署名や添付書類の電子化のハードルがあるため、通常の相続登記は窓口か郵送のほうが手軽というのが現実的なところです。

自分でやれる人・やめたほうがいい人

自分でやれる人

  • 相続人が2〜3人で全員が協力的
  • 不動産が1〜2件
  • 遺言・遺産分割協議書がすでにある
  • 平日に法務局へ行ける

司法書士に頼んだほうがいい人

  • 相続人が5人以上
  • 数次相続・代襲相続が絡む
  • 不動産が複数の市町村にまたがる
  • 海外居住者がいる
  • 仕事で平日に動けない
  • 法定相続情報一覧図の作成も含めて任せたい

期間と費用のリアル

シンプルなケースを自分でやる場合の目安は、

  • 書類収集:1〜2週間
  • 協議書作成:数日
  • 登記申請〜完了:1〜3週間
  • 総費用:登録免許税+実費で 数万円〜十数万円

司法書士に依頼した場合の報酬(本記事冒頭で触れた7万〜13万円程度が一つの目安)を節約できる計算です。実際の金額は事務所や案件の内容によって異なります。

まとめ

自分で相続登記をする最大のメリットは費用の節約。ただし、書類が1か所でも欠ければ補正が必要になります。法務局の登記手続案内(完全予約制・1回20分以内、電話・窓口・ウェブ会議から選べます)なら、申請書の作成に必要な情報を無料で案内してもらえるので、不安な方はまずそこから始めるのがおすすめです。


出典(一次情報)