「実家がマンションだから、戸建てと手続きが違うのかな?」——これはよく聞かれる質問です。結論からいえば、基本の流れは戸建てと同じですが、マンション特有の「敷地権(しきちけん)」の仕組みを知らないと混乱します。本記事でわかりやすく解説します。

マンション特有のキーワード:「敷地権」

敷地権とは

マンションの専有部分(自分の部屋)と、その敷地(土地)の権利一体化されている権利。

ふつう、戸建ては「土地」と「建物」が別々の登記簿で管理されます。ところがマンションは、土地と部屋を一体で扱うほうが管理しやすいため、1983年(昭和58年)の区分所有法改正で**「敷地権」**という考え方が導入されました。

敷地権のあるマンション・ないマンション

種類 特徴
敷地権あり(多くの現代マンション) 専有部分と土地を一体で登記
敷地権なし(古いマンションや一部の物件) 建物と土地を別々に登記

敷地権があるマンションでは、専有部分を相続登記すれば、自動的に土地の持分も移転します。逆に敷地権がない場合、土地と建物を別々に相続登記する必要があります。

自分のマンションがどちらかを確認する方法

法務局で登記事項証明書を取得し、表題部を確認します。

  • 敷地権の表示」欄がある → 敷地権あり
  • 敷地権の表示」欄がない → 敷地権なし

オンラインなら登記情報提供サービスで1通330円程度で確認できます(料金は改定されることがあります)。

相続登記に必要な書類

戸建てと基本は同じです。

  • 被相続人の出生〜死亡までの戸籍
  • 相続人全員の戸籍・印鑑証明書
  • 取得者の住民票
  • 遺産分割協議書
  • 固定資産評価証明書
  • 登記事項証明書

敷地権ありマンションの場合:登記申請書の対象不動産欄に、専有部分の表示+敷地権の表示を記載します。土地について別途記載する必要はありません。

敷地権なしマンションの場合:専有部分と土地、それぞれ別の登記申請書(あるいは1通にまとめて2件分)が必要です。

登録免許税の計算

通常通り、

  • 固定資産評価額 × 0.4%

ですが、マンションの場合は**「専有部分の評価額」+「土地の持分評価額」**の合計で計算します。市区町村の固定資産評価証明書には、土地の持分(共有持分)に応じた評価額が記載されているので、それをそのまま使えばOKです。

例:

  • 専有部分の評価額:1,500万円
  • 土地持分の評価額:500万円
  • 合計2,000万円 × 0.4% = 80,000円

マンション相続でよくあるトラブル

① 共用部分の登記が漏れている

専有部分とは別に共用部分(駐車場・倉庫など)に独立した登記がある場合、そちらの相続登記も忘れずに。

② 管理組合への届け出

相続登記とは別に、管理組合への所有者変更届が必要です。管理費・修繕積立金の請求が新しい所有者に行くようにするためです。

③ 滞納管理費の引き継ぎ

被相続人が管理費・修繕積立金を滞納していた場合、相続人は債務も含めて権利義務を包括的に承継するため、滞納分も引き継ぐのが原則です(民法896条。なお売買などで取得した特定承継人については区分所有法8条)。遺産分割の前に管理組合へ残高を確認しましょう。

④ 賃貸中マンションの場合

賃借人がいる場合、賃貸人としての地位も相続人にそのまま承継されます(民法896条。売買等による移転は605条の2)。賃借人への連絡(振込先の変更案内など)は忘れずに行いましょう。

⑤ ローン残債がある場合

団体信用生命保険(団信)に加入していれば、被相続人の死亡で残債が完済されます。金融機関への連絡抵当権抹消登記が必要です。

マンション相続後にやることリスト

  • 相続登記(法務局)
  • 管理組合への所有者変更届
  • 抵当権抹消登記(団信完済の場合)
  • 火災保険・地震保険の名義変更
  • ガス・水道・電気の名義変更
  • 賃借人への通知(賃貸中の場合)

まとめ

マンションの相続登記は、

  • 敷地権ありなら戸建てよりむしろシンプル(1回の登記で土地も移転)
  • 敷地権なしなら土地と建物を別々に登記
  • 管理組合や金融機関への連絡も忘れずに

「マンション=難しい」ではなく、特性を理解すれば手続きは戸建てとほぼ同じです。義務化の3年期限内にしっかり登記しましょう。


出典(一次情報)