相続登記をする前に、まず確認すべきが**登記事項証明書(登記簿謄本)**です。「漢字と数字ばかりで読めない」という方も多いですが、3つのパートに分けて見れば誰でも理解できます。本記事でやさしく解説します。

まず取得方法

法務局の窓口

不動産所在地に関係なく、全国どこの法務局でも取れます。1通600円

オンライン(登記情報提供サービス)

「登記情報提供サービス」を使えば、自宅のパソコンから取得可能。不動産登記情報(全部事項)で1件330円(令和8年4月1日改定。料金は改定されることがあります)。ただし、証明書としての効力はなく、参考情報として扱われます。

オンライン申請(登記・供託オンライン申請システム)

正式な証明書を書面で受け取りたい場合、オンライン申請して窓口・郵送受取が可能。1通490円(窓口受取)/520円(郵送)です(令和7年4月1日改定)。

登記事項証明書の構造

大きく3パートに分かれます。

パート 内容
表題部 不動産の物理的な情報(場所・地目・床面積など)
権利部(甲区) 所有権に関する情報
権利部(乙区) 所有権以外の権利(抵当権・地上権など)

① 表題部の読み方

土地の場合

所在 〇〇市〇〇町一丁目
地番 12番3
地目 宅地
地積 150.25㎡
  • 所在:住所の前半。住居表示とは異なる場合あり
  • 地番:土地の識別番号。住居表示の番地とは別物
  • 地目:用途(宅地・田・畑・山林・雑種地など)
  • 地積:面積(㎡)

建物の場合

所在 〇〇市〇〇町一丁目12番地3
家屋番号 12番3
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 60.30㎡
        2階 50.20㎡
  • 家屋番号:建物の識別番号
  • 種類:居宅・店舗・倉庫など
  • 構造:木造・鉄筋コンクリート造などの建築種別
  • 床面積:各階の面積

遺産分割協議書はここの記載をそのまま転記します。住所表記ではなく、登記簿どおりに書くことが重要です。

② 権利部(甲区)の読み方

所有権に関する情報が時系列で記録されます。

順位番号 1
登記の目的 所有権保存
受付年月日 平成5年4月1日 受付第1234号
権利者 山田太郎
    〇〇市〇〇町一丁目2番3号
  • 順位番号:登記された順番。早いほど優先
  • 登記の目的:所有権保存・所有権移転(売買・相続・贈与など)
  • 受付年月日・受付番号:登記された日と番号
  • 権利者:現在の所有者の氏名・住所

相続前に必ずチェック

  • 最後の権利者欄が亡くなった方の名前になっているか
  • 既に仮登記買戻し特約が付いていないか
  • 過去に差押え仮差押えが入っていないか

差押え等が残っていると、相続登記は可能でも売却時にトラブルになります。

③ 権利部(乙区)の読み方

所有権以外の権利(抵当権・根抵当権・地上権・賃借権など)が記載されます。

順位番号 1
登記の目的 抵当権設定
受付年月日 平成5年4月1日 受付第5678号
原因 平成5年4月1日金銭消費貸借同日設定
債権額 金3,000万円
利息 年2.5%
債務者 山田太郎
抵当権者 株式会社〇〇銀行

相続前に必ずチェック

  • 抵当権:住宅ローンが残っているか確認。団信加入なら完済で抹消可能
  • 根抵当権:事業用に設定されていることが多い。相続開始後6か月以内の指定債務者の合意の登記など、承継の手続きが必要
  • 賃借権:賃貸借契約が登記されているか
  • 地役権:他人の通行権など

抵当権がある場合は、抹消登記を相続登記と並行して進めるのが効率的です。

古い登記簿の場合

戦前〜昭和の登記は、手書き・縦書きで、用語も今と違うケースがあります。

  • 所有者」ではなく「戸主」と書かれている
  • 旧字体(澤・濱など)
  • 番地表記が現代と異なる

読み解きに不安があれば、法務局や司法書士に相談しましょう。

「閉鎖された登記簿」もチェック

合筆・分筆・建物の滅失などで閉鎖された登記簿があり、こちらも取得可能です。古い権利関係を調べたいときに有効。

相続登記前のチェックリスト

  • 表題部の物件情報が現状と一致しているか(増築・滅失されていないか)
  • 甲区の所有者が被相続人になっているか
  • 過去の所有権移転に漏れがないか
  • 乙区に抵当権等が残っていないか
  • 数次相続が必要なケースになっていないか

まとめ

登記事項証明書は、

  • 表題部:物件の物理情報
  • 甲区:所有権の歴史
  • 乙区:所有権以外の権利

の3パートを順に確認すれば、誰でも基本情報を把握できます。相続登記前の必読書類として、必ず取得・確認しましょう。読めない部分があれば、法務局の登記手続案内(予約制・無料)で一般的な案内を受けられる場合があります。実施状況や予約方法は管轄の法務局にご確認ください。


出典(一次情報)